CentOS終了後の最適解は?環境別にわかるAlmaLinux移行の判断軸と手順

CentOSの方針変更により、「どのOSへ移行すべきか」は避けて通れない判断になりました。ただし重要なのは、“どれが優れているか”ではなく、“自分の環境にとってどれが最適か”です。

例えば、下記のような条件であれば、AlmaLinuxは有力な選択肢になります。

・既存がRHEL/CentOSベースで運用されている

・構成や手順を大きく変えたくない

・AWSへのリフト&シフトを検討している

一方で、AWS特化ならAmazon Linux、柔軟な開発環境ならUbuntuの方が適しているケースもあります。

この記事では、CentOSの代替が必要になった背景やAlmaLinuxを選ぶべき具体的な条件(判断軸)、また他ディストリビューションとの違い(差分ベース)やELevateによる移行とその注意点を、実務での運用を前提に整理します。「とりあえず移行する」のではなく、「移行後も困らない選択」をしたい方に向けた内容です。

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長年にわたり、CentOSは企業のサーバーや開発環境で広く使用されてきました。CentOSの魅力はその安定性と互換性、そして長期的なサポートにありました。これらはすべて、CentOSがRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の再配布版であるという事実に由来しています。RHELが商用環境で信頼される同じ理由が、無償で利用できるCentOSにも当てはまりました。

CentOS8の終了

しかし、2020年末、CentOSの開発元であるRed Hatは、CentOS 8のライフサイクルを2021年末で短縮し、その開発をCentOS Streamにシフトすると発表しました。CentOS StreamはRHELのアップストリーム版であり、その開発はRHELのリリースに先行します。これにより、CentOSの安定性と長期サポートという特性は、一部のユーザーにとっては問題となりました。

この変更は、多くのCentOSユーザーが新たなLinuxディストリビューションへの移行を検討するきっかけとなりました。CentOSの後継となるOSとして一部のコミュニティや組織は、AlmaLinuxなど新たなOSを選定しています。なぜこれらの新OSが必要となったのか、そしてなぜAlmaLinuxが注目されているのか、次の節ではその理由を深掘りしていきます。

AlmaLinuxは、CentOSの後継として注目を集めている新しいLinuxディストリビューションの一つです。CloudLinuxにより開発が進められており、その目的はCentOSのような安定性と長期間のサポートを提供することです。これにより、CentOSからの移行を考えているユーザーにとって、AlmaLinuxは魅力的な選択肢となっています。

CentOSの後継として注目されるAlmaLinux

AlmaLinuxはRHELとバイナリレベルで互換性があり、CentOSが提供していた機能とサポートを提供します。これにより、RHELやCentOSベースの既存のスクリプトやアプリケーションを、AlmaLinuxでも問題なく動作させることができます。

また、CloudLinuxはAlmaLinuxに対して少なくとも2029年までのフルサポートを約束しています。また、プラチナスポンサーとして参加しているサイバートラスト社が、最長16年の商用サポートをすると発表したことも話題となりました。これにより、長期間にわたる安定した運用が求められるビジネスシーンでも、AlmaLinuxは信頼できる選択肢となっています。

さらに、AlmaLinuxはオープンソースプロジェクトとして運営されており、コミュニティ主導の開発が行われています。このため、ユーザー自身が開発に参加し、システムの改善や新機能の提案を行うことが可能です。

以上のような特性から、AlmaLinuxはCentOSの後継として、また、新たなLinuxディストリビューションとしての魅力を持っています。しかし、AlmaLinuxがなぜ他のOSよりも優れているのか、次の節ではこの点について詳しく探っていきます。

各Linuxディストリビューションの関係性は次の図のようになっています。

Linuxディストリビューションの流れ

AlmaLinuxとその他候補となるディストリビューションとの違いを表でまとめてみました。

AlmaLinuxRocky LinuxAmazon LinuxUbuntu
用途と対象一般的なサーバーや開発環境向け一般的なサーバーや開発環境向けAWS上での使用を最適化広範な用途、デスクトップからサーバー、クラウドまで
開発CloudLinuxによる開発CentOSの共同創設者による開発AWSによる開発Canonicalによる開発
サポート8系:2029年まで
9系:2032年まで
8系:2029年まで
9系:2032年まで
5年間のサポート5年間のサポート
互換性RHELとバイナリレベルの互換性RHELとバイナリレベルの互換性FedoraベースDebianとの互換性。RHELやCentOSとの直接的な互換性はなし
コミュニティオープンソース
コミュニティ駆動
オープンソース
コミュニティ駆動
AWS主導オープンソース
コミュニティ駆動
リリースタイミングRHELに依存。2021年初頭に最初の安定版リリースRHELに依存。AlmaLinuxのリリース後にリリース2年ごとにメジャーバージョンリリース6ヶ月ごとに新バージョンがリリース

AlmaLinuxとRocky Linuxは、一般的なサーバーや開発環境向けのOSとして設計され、RHELとのバイナリレベルでの互換性を持つことを目指しています。このため、これらのOSはCentOSやRHELからのスムーズな移行を望むユーザーや、一般的なサーバー環境での運用を必要とするユーザーに適しています。

どちらもコミュニティ駆動の開発をしていますが、AlmaLinuxのほうがLinuxディストリビューションの開発とサポートの経験が豊富で、リリースについても迅速に対応している実績があります。

一方、Amazon Linuxは、Amazon Web Services (AWS) 上で最適に動作するように設計されています。これにより、AWSをメインのクラウドプラットフォームとして使用しているユーザーにとっては、Amazon Linuxが最適化された選択肢となる可能性があります。Amazon Linux2023からは、2年ごとのメジャーバージョンリリースと5年間のサポートを表明しています。

CentOSからAlmaLinuxへの移行は「ELevate」というツールが用意されています。

移行は「IN-PLACE」、つまり上書き方式で行われ、すべてのデータ、アプリケーションおよび設定が保持されます。既存サーバーの複製を行い、アップグレードを行い動作確認を実施後に本番環境への適用を行う、またはサーバーの差し替えを行うことでアップグレードが完了します。

もし、移行ツールが動作しない、またはシステムが正常に動作しない場合は、再構築を実施しデータ移行をすることをお勧めします。

Q. CentOSの代わりにAlmaLinuxが選ばれる理由は何ですか?

A. 最大の理由は「運用をほぼ変えずに移行できること」です。RHEL互換により既存のパッケージや設定がそのまま動くケースが多く、検証工数や移行リスクを抑えられます。結果として移行コストが低く、安定運用を継続しやすい点が評価されています。

Q. どんな環境ならAlmaLinuxを選ぶべきですか?

A. 以下の条件に当てはまる場合は適しています。

・CentOS / RHELベースで構築済み

・運用手順や構成を変えたくない

・オンプレからAWSへそのまま移行(リフト&シフト)したい

逆に、AWS最適化を重視するならAmazon Linux、構成を見直すならUbuntuが候補になります。

Q. Rocky Linuxとの違いは何ですか?

A. 機能面の差はほぼありませんが、AlmaLinuxは企業支援(CloudLinuxや商用サポート)の体制があり、「運用の安心感」で選ばれることが多いです。一方でRocky Linuxはコミュニティ色が強いという違いがあります。

Q. ELevateでの移行は本当に安全ですか?

A. 多くのケースで有効ですが、以下のような場合は失敗する可能性があります。

・カスタムカーネルを使用している

・古いミドルウェアや独自ビルドパッケージがある

・依存関係が複雑

そのため、本番前に検証環境でのリハーサルは必須です。

Q. 移行にどれくらい時間がかかりますか?

A. 環境規模によりますが、小規模であれば数時間〜1日程度が目安です。ただし検証やバックアップ、切り戻し設計を含めると数日〜数週間の計画になるケースが一般的です。

Q. ダウンタイムはゼロにできますか?

A. 完全なゼロは難しいですが、最小化は可能です。事前に複製環境で検証し、切り替えタイミングを制御することで業務影響を抑えられます。

Q. AWSでもAlmaLinuxは使えますか?

A. 公式AMIが提供されており問題なく利用可能です。特に「既存構成を保ったままクラウドへ移行する」ケースでは相性が良い選択です。

Q. すべての環境でAlmaLinuxが最適ですか?

A. いいえ。選定基準は以下の通りです。

・既存踏襲・安定運用 → AlmaLinux

・AWS最適化 → Amazon Linux

・柔軟性・最新技術 → Ubuntu

「現行環境との親和性」と「移行後の運用」を軸に判断することが重要です。

AlmaLinuxは、信頼できる企業であるCloudLinuxが開発と維持を担当しており、2029年までのサポートが保証されています。最近では、サイバートラスト社が16年間の商用サポートの表明も行いました。

また、AlmaLinuxはRHELとバイナリ互換を持ちリリースも迅速に行われています。移行ツールも提供されているため、既存のシステムへの影響を最小限に抑えながら移行が可能です。そして、オープンソースとしてコミュニティ主導で開発されているため、ユーザーのニーズに応じて進化を続けることができます。

AlmaLinuxをCentOSの後継としての候補に入れてみてはいかがでしょうか?

CentOSのEOL対策をきっかけに、AWSへの移行を検討している方は是非ご相談ください