展示会成果は「入力の速さ」ではなく「フォローの速さ」で決まります。本記事は、展示会後のフォローが遅れがちなマーケ・営業担当者に向けた実装事例です。名刺撮影と会話メモ入力だけで、Difyの生成AIがフォロー文を生成し、HubSpotでのリード照合・更新、Slack通知までをリアルタイム実行。AWSサーバーレス構成により、ピーク時でも安定稼働します。
従来の「MAスキャン+手動連携」はイベント後バッチ処理になりがちでしたが、本構成はAPI連携により“その場で処理が完結する”点が本質です。実際の運用では、商談直後にスタッフが30秒で入力→数分以内にSlack通知→当日中にフォロー送信、という流れを実現します。紙・手入力中心の運用から脱却し、展示会ROIを最大化する“即時フォロー基盤”の具体像を紹介します。

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背景・目的
目的
名刺交換直後の“熱のある”タイミングで素早くアポイントを創出する。
従来の課題
従来は展示会にて「接点を持てたお客様のフォローに時間がかかる」という課題を抱えていました。
- 名刺情報と会話メモをどこに保管するか決めきれず、紙とバラバラのファイルに散在
- 手書きメモの読み取りミス・入力工数が大きい
- ハウスリード照合が手作業のため、フォローが遅延
MAツールの名刺スキャンアプリや、Slackへ情報集約などを試してみたものの、使い勝手やOCR精度など含めると、それほど作業工数の大きな削減につながっていませんでした。
ソリューション
そこで、AWSとDifyを利用して、リアルイベント即時フォローソリューションを作成してみました。構成としては、ブース内で利用するWebアプリと、精度向上のためのバックオフィス管理画面の2構成となっています。

イベント会場 :シンプルな登録Webアプリ
展示会のブース内での作業は「極力シンプルにしたい」という方針のもと、“名刺写真を撮って会話内を入力するだけ”のWebアプリを作成しました。アプリ配布不要で新卒スタッフでも迷わない シンプルなUIです。

Webアプリの操作ステップは次の表のとおりです。
| 操作ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① カメラ撮影 | 名刺をスマホ/タブレットで撮影 |
| ② 会話入力 | 音声入力(推奨)またはキーボードで要点を記録 |
| ③ フォロー種別選択 | 「デモ希望」「資料送付」「商談化」などをタップ |
また、データはAWS上へ保存しています。具体的には、名刺画像はAmazon S3へ、会話内容等の情報はAmazon DynamoDBへ保存します。
自動化処理:Difyによるワークフロー
名刺画像がAWS上へ保存されると、自動化処理が実行されます。従来はイベント終了後に人手を使い作業していました。今回はそこを「AIを使い」リアルタイムで自動処理さます。
- Amazon S3 へ画像保存 → AWS Lambda をトリガー
- Dify AI アプリ(REST API)を呼び出し
- 名刺画像を OCR
- 会話要約 & 個別フォロー文を自動生成
- HubSpot API でハウスリード照合/レコード更新
- 結果を Slack に即時通知(担当者をメンション)
- Amazon DynamoDBへ、Dify APIアプリの処理結果を保存

後方支援メンバー:目視確認&お礼送信
展示会会場とは別に、後方支援メンバー用の管理画面を用意しています。管理画面では、人手による目視確認と修正、お礼メールおよびショートメッセージの送信を行っています。
- 一覧ビュー:で新規リードを時系列表示
- 確認・修正:名刺スキャン画像とOCR結果の確認及び修正を実施
- お礼送信:確認・修正後にお礼のショートメッセージとメールをワンクリック送信

導入効果
Dify と AWS で実現する “リアルイベント即時フォロー” ソリューションの導入効果は、2025年6月25日~26日に開催される「AWS Summit Japan 2025」の終了後にまとめたいと思います。現時点の想定効果は次の通りです。
| 指標 | 旧運用(紙+手入力) | 新運用(Dify 自動化) | 備考 |
|---|---|---|---|
| フォロー完了までの平均時間 | 3営業日 | 80%のフォローを当日完了 | 後方支援メンバーの勤務時間の都合により、一定数は翌日対応 |
| 手入力工数(人日) | 2 人日/展示会 | 0.5 人日 名刺のOCR精度:89% | OCRにGeminiを利用することで大幅な精度向上を実現。スペースや旧字体でいくつかOCRミスあり。 |
キーになる技術要素ポイント
今回の例では、Difyで作成したAIアプリケーションをAPI化して利用しています。関連するキーになる技術要素をまとめておきます。
| 技術/サービス | 採用理由 |
|---|---|
| Dify | ノーコードで AI ワークフロー実装・迅速なプロンプト改善が可能 |
| Amazon API Gateway / AWS Lambda / Amazon S3 / DynamoDB | サーバーレスでスケーラブル、展示会ピーク時も安心 |
| HubSpot API | 既存 MAツール(CRM)とのリアルタイム統合 |
| Slack Webhook | 営業が日常的に使うチャネルで即通知 |
| CPaaS NOW | APIによるショートメッセージ配信 |
関連するFAQ
Q. どの作業が自動化されますか?
A. 名刺画像のOCR、会話要約、個別フォロー文生成、HubSpotでのリード照合・レコード更新、Slack通知までを自動化します。
Q. 現場の操作は難しくありませんか?
A. 「名刺を撮影」「会話を入力(音声推奨)」「フォロー種別を選択」のみです。アプリ配布不要のシンプルUIで、新人スタッフでも迷わず使えます。
Q. なぜ当日フォローが重要なのですか?
A. 名刺交換直後は検討意欲が最も高い“ホットな状態”であり、このタイミングを逃すと返信率・商談化率が大きく低下します。本構成はこの数時間の差を埋めるための仕組みです。
Q. 従来のMAツール運用と何が違いますか?
A. 従来はイベント後にまとめて処理するバッチ型が中心でした。本構成はS3→Lambda→Dify API→外部連携までをリアルタイムでつなぐため、「処理タイミング」「人的介入」「初動速度」が根本的に異なります。
Q. フォロー速度はどれくらい改善しますか?
A. 想定では、従来平均3営業日だったフォローが約80%当日中に完了します(展示会2日間・数百枚規模の名刺処理を前提)。一部は後方支援体制により翌日対応となります。
Q. OCRの精度はどの程度ですか?
A. 約89%(Gemini利用、複数サンプル検証ベース)。スペースや旧字体で一部誤認識があり、管理画面での目視修正フローを組み込んでいます。
Q. リアルタイム化で最も苦労したポイントは?
A. OCR精度よりも「処理のつなぎ込み」と「現場UIのシンプル化」です。入力負荷が少しでも高いと現場で使われないため、“30秒で終わる設計”を優先しました。
Q. どのようなAWS構成ですか?
A. S3(画像保存)を起点にLambdaで処理をトリガーし、Dify APIを呼び出します。結果はDynamoDBに保存し、HubSpotやSlackと連携するサーバーレス構成です。
Q. 導入にはどれくらいかかりますか?
A. Difyのノーコード特性とサーバーレス構成により、最小限の開発で短期間に立ち上げ可能です(要件により変動)。
まとめ
Dify と AWS サーバーレスを組み合わせた “名刺撮影→即フォロー” 基盤により、「入力工数の重さ」「情報のばらつき」「フォロー遅延」というイベント現場特有の課題を解決。展示会 ROI 最大化に直結する スピード&精度を実現しました。
今後はMA(HubSpot)連携強化や、商談優先度の自動スコアリングなど、生成AIの良さをより多く使えるようにしていきたいと考えています。
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