名刺交換直後の“熱のある”タイミングで素早くアポイントを創出したい。
ということで、リアルイベントで得た名刺と会話情報を “その場で” デジタル化し、Dify の生成 AIアプリケーション で自動フォロー文を生成。さらに MAツール連携でハウスリードを自動判定し、バックオフィスのメンバーが即時に最適なアクションを打てる、リードマネジメント基盤を短期間で構築しました。

背景・目的
目的
名刺交換直後の“熱のある”タイミングで素早くアポイントを創出する。
従来の課題
従来は展示会にて接点を持てたお客様のフォローに次のような課題を抱えていました。
- 名刺情報と会話メモをどこに保管するか決めきれず、紙とバラバラのファイルに散在
- 手書きメモの読み取りミス・入力工数が大きい
- ハウスリード照合が手作業のため、フォローが遅延
MAツールの名刺スキャンアプリや、Slackへ情報集約などを試してみたものの、使い勝手やOCR精度など含めると、それほど作業工数の大きな削減につながっていませんでした。
ソリューション
そこで、AWSとDifyを利用して、リアルイベント即時フォローソリューションを作成してみました。構成としては、ブース内で利用するWebアプリと、精度向上のためのバックオフィス管理画面の2構成となっています。

イベント会場 :シンプルな登録Webアプリ
展示会のブース内での作業は極力シンプルにしたい。という方針のもと、“名刺写真を撮って会話内を入力するだけ”のWebアプリを作成しました。

操作ステップ | 内容 |
---|---|
① カメラ撮影 | 名刺をスマホ/タブレットで撮影 |
② 会話入力 | 音声入力(推奨)またはキーボードで要点を記録 |
③ フォロー種別選択 | 「デモ希望」「資料送付」「商談化」などをタップ |
- 保存先:データはAWS上へ保存しています。具体的には、名刺画像はAmazon S3へ、会話内容等の情報はAmazon DynamoDBへ保存します。
- 起動:ブラウザのみ。アプリ配布不要で新卒スタッフでも迷わない シンプルなUIです。
自動化処理:Difyによるワークフロー
名刺画像がAWS上へ保存されると、自動化処理が実行されます。従来はイベント終了後に人手を使い作業していた内容を、AIを使い、リアルタイムで自動処理さます。

- Amazon S3 へ画像保存 → AWS Lambda トリガー
- Dify AI アプリ(REST API)を呼び出し
- 名刺画像を OCR
- 会話要約 & 個別フォロー文を自動生成
- HubSpot API でハウスリード照合/レコード更新
- 結果を Slack に即時通知(担当者をメンション)
- Amazon DynamoDBへ、Dify APIアプリの処理結果を保存
バックオフィス:目視確認&お礼送信
展示会会場とは別に、バックオフィスメンバー用の管理画面を用意しています。管理画面では、人手による目視確認と修正、お礼メール等の送信を行っています。
- 一覧ビュー:で新規リードを時系列表示
- 確認・修正:名刺スキャン画像とOCR結果の確認及び修正を実施
- お礼送信:確認・修正後にショートメッセージとお礼メールをワンクリック送信

導入効果
Dify × AWS で実現する “リアルイベント即時フォロー” ソリューションの導入効果は、2025年6月25日~26日に開催される「AWS Summit Japan 2025」の終了後にまとめたいと思います。現時点の想定効果は次の通りです。
指標 | 旧運用(紙+手入力) | 新運用(Dify 自動化) | 改善幅 |
---|---|---|---|
フォロー完了までの平均時間 | 3営業日 | 当日 | -66 % |
手入力工数(人日) | 2 人日/展示会 | 0.5 人日 | -75 % |
キーになる技術要素ポイント
今回の例では、Difyで作成したAIアプリケーションをAPI化して利用しています。関連するキーになる技術要素をまとめておきます。
技術/サービス | 採用理由 |
---|---|
Dify | ノーコードで AI ワークフロー実装・迅速なプロンプト改善が可能 |
Amazon API Gateway / AWS Lambda / Amazon S3 / DynamoDB | サーバーレスでスケーラブル、展示会ピーク時も安心 |
HubSpot API | 既存 MAツール(CRM)とのリアルタイム統合 |
Slack Webhook | 営業が日常的に使うチャネルで即通知 |
まとめ
Dify と AWS サーバーレスを組み合わせた “名刺撮影→即フォロー” 基盤により、「入力工数の重さ」「情報のばらつき」「フォロー遅延」というイベント現場特有の課題を解決。展示会 ROI 最大化に直結する スピード&精度を実現しました。
今後はMA(HubSpot)連携強化や、商談優先度の自動スコアリングなど、生成AIの良さをより多く使えるようにしていきたいと考えています。
展示会やセミナーのリード管理でお悩みの方へ
Dify の生成 AI とクラウドネイティブ構成で、最小の開発で最大の成果を。ぜひご相談ください。